ポパー(開かれた社会とその敵)

開かれた社会と閉じた社会に区別して、20世紀の全体主義は絶対的な真理の名のもとによる支配であり、閉じた社会の極限形態であると主張した。 彼は閉じた社会としてプラトンの哲人王による統治を批判したほか、ナチスの人種イデオロギーや、ソ連の共産主義…

精神現象学(ヘーゲル)

彼は歴史とは弁証法的運動過程だと述べ、フランス革命を人類の歴史が完成に向かう途上として位置付けた。 弁証法とは相反する二つの事象を、より高次元で止揚(融和)することである。 小邦に分裂したドイツにおいて、ドイツ統一を夢見ていた彼にとって、フ…

職業としての政治(ウェーバー)

歴史や文化の比較考察により、人々を動かす理念を解明しようとしたのがウェーバーである。 彼は人間と社会を動かす理念や世界像に着目して、近代合理主義の解明を試みた。そして「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」の中で、どうしてインドや中国…

啓蒙の弁証法(アドルノ・ホルクハイマー)

彼らは一般に全体主義批判であるが、主な主張としては 「理性は暴力の道具に成り果てた」ということである。 ナチスは不合理な目標を掲げながらも、非常に効率的な強制収容所システムを構築し大量虐殺を行った。これを可能にした”理性”は近代が求めていたも…

アメリカのデモクラシー(トクヴィル)

個人の自由と権利の実現のために人民主権を目指して始まったフランス革命はどうしてジャコバン恐怖政治に陥ったのか? ルソーの社会契約論の概念の問題点はどこにあったのか? この時期を代表する自由主義者にコンスタンがいる。彼は古代人の自由と近代人の…

学問芸術論、社会契約論(ルソー)

ロック、スミス、ベンサムらは個人を市場経済において自己の利益を最大化させる経済人と措定し、社会全体の富の増大が個々人の幸福の増大を意味すると考えた。これに対してルソーはフロムの言う「~からの自由」を成しえた近代人は本当に幸せなのかと疑問を…

全体主義の起源(ハンナ・アーレント)

今回は、現代社会に生きる我々が全体主義について考える意味について考えたい。 全体主義totalitarianismとは、ヒトラーのナチス政権やソ連のスターリン、イタリアのファシストらが主導したイデオロギーであり、個人に対して全体の絶対優位の主張の下で、諸…

フランス革命の省察(エドモント=バーク)

保守主義の生みの親、バークの著作を読んだ。 彼の凄いところは、フランス革命の後、ジャコバン派による独裁や共和制の崩壊を予想したところだ。 「偏見」を重視し、合理主義や人間の理性を頼りないものだとした反啓蒙主義者であり、この考え方は近代に蔓延…

西洋近代を問い直す(佐伯啓思)

半年前に読んだものをもう一度読み返した。 サブタイトルは「人間は進歩してきたのか」 痺れますね。 科学技術や市場経済の発展で、物質的には豊かになった現代社会において、本当に精神的に我々は進歩してきたのか?というのは私が普段から感じている疑問で…

文明論之概略(福沢諭吉)

明治を代表する思想家、福沢諭吉さんの本を読みました。 彼の著作は高校生の時に学問のすすめを読んで以来二冊目。 最近の私の関心は、 「近代は何処からきて、どこに向かうのか」 「我々の住む資本主義社会はどこに向かうのか」 「西洋近代文明やグローバリ…

さらば、資本主義(佐伯啓思)

大学の恩師である佐伯先生の著作はこれで6冊目になるだろうか。 どの著作も共通してテーマは「近代西洋社会への懐疑と警鐘」である。 今回の著作も、主論としては、 科学と技術の革新によって富を生み出し、無限に幸福を追求するという近代社会の価値を見直…

ブログ開設

大学に入ってからいろんな本を読んできたものの、なかなか消化できていなかったなという反省があり、このたびは読書記録としてブログを開設しました。 自分の表現力、伝える力を伸ばすためにも、定期的に更新できればと思います。